インターネットを使って不特定の人から小…
インターネットを使って不特定の人から小額ずつ資金を募るクラウドファンデイング(CF)。国内では2011年からサービスが始まったが、新たな寄付制度として定着した。
県内では昨年、法隆寺が境内整備費などを募ったCFが、予想を超える資金が集まり話題を呼んだ。コロナ禍による拝観料減が背景にあるが、人々の関心の高さに驚かされた。
寺院には古くから仏像などの造営で個人に浄財を募る「勧進」の文化があり、親和性の高い制度かもしれない。檀家がない南都の寺にとっては今後、文化財保護などの資金確保に向けた心強い味方になるだろう。
また、若手研究者らが募った佐紀古墳群の航空レーザ測量資金にも多くの応募があった。新たな研究資金の調達法としてもCFは有望だ。
国立科学博物館のCFも5億円超の資金が集まり大成功となった。光熱費の高騰で標本や資料を保存する資金に窮したものだが、手放しで喜べない。
国の施設であり、本来は国が責任を持つべき。国が「金がないならCFをすれば良い」と思うようになればこの国の文化財行政は終わりだ。(法)