十津川大水害と県再設置。開会中の9月定…
十津川大水害と県再設置。開会中の9月定例県会で一般質問に立った議員から明治時代の県史に関する提言が2件、相次いで示され目を引いた。
十津川大水害の発生は1889年。川口正志県議は死者168人、多くが生活基盤を失った十津川では、約3000人が移住したと振り返った。
そして切り開いたのが北海道空知地方の新十津川町。先人たちが筆舌に尽くしがたい困難を乗り越え、立派な街を築いた歴史は、今の奈良県民にとっても大いなる誇りだと同議員。
一方、その水害の2年前、1887年には大阪府から奈良県が独立、再設置される歴史があった。こちらは生駒郡の小村尚己県議の質問だ。
明治維新で誕生した奈良県は1876年に消滅。大阪府に統合されたが、災害復旧で予算が回ってこないなど辛酸をなめ、安堵出身の実業家今村勤三らの尽力で11年後に復活した。
両議員はそれぞれ、こうした古代ばかりではない郷土の歴史を、もっと身近に学び知る機会を増やすべきと主張。提言に対し荒井正吾知事は、先人の思いを継ぎ県をより良くするため取り組むと答えた。(松)