与謝野晶子研究の第一人者として知られる…
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与謝野晶子研究の第一人者として知られる元・大谷女子大学教授の入江春行さんが亡くなった。晶子関係の資料が出た時はマスコミ各社が談話を求めてお世話になった。
東京生まれの入江さんは半世紀以上、晶子研究一筋に生きられた。旧制高校時代に手に取った歌集「みだれ髪」の、斬新な装丁(画家・藤島武二)に強くときめいたのが晶子との出合いという。
主宰した雑誌「与謝野晶子研究」は、A5判で毎号40~50頁。本や新聞記事、各種リーフレットまで、関係資料を収集。40年以上続き、230号を超えるライフワークとなった。
編集作業を支えた奥様が亡くなった後、2013年には「この世に生きたあかしを永遠にとどめるために」と遺歌集(私家版)を刊行。喪失感を乗り越えて、感謝の思いを形にされた。
「百の晶子の歌」を弊紙に連載、その後出版化した御縁で、ご自宅に伺うこともあった。天井近くまで、うず高く積まれた、膨大な書籍や資料に圧倒された。これぞ研究家の“城”だと思った。
飄々(ひょうひょう)とした印象を残して、愛妻のもとへと旅立たれた。(恵)