国原譜

テレビからラジオから、金属バットの快音…

 テレビからラジオから、金属バットの快音と、ブラスバンドのにぎやかな演奏が聞こえる。2年ぶりのセンバツを歳月以上に懐かしく感じるのは、コロナ禍で日常が大きく変化したからだろう。

 熱戦が続く甲子園では、県勢2校がそろって1回戦を突破した。大会が中止になった昨春の分まで、存分に戦ってほしい。

 野山から運ばれる風の匂いや花の香り、鳥のさえずりが季節を感じさせてくれるが、甲子園もその一つであることを改めて思う。

 コロナ前の日常を取り戻したい欲求と「まだまだ」と言い聞かせる自制の気持ちと、その葛藤が1年以上も続く中で、心を和ませてくれる音や香りがありがたい。

 「梅の花咲きて散りなば桜花継ぎて咲くべくなりにてあらずや」(万葉集)。ウメの見頃が過ぎたと思えば平野部は早くもサクラの季節。新型コロナウイルスは変異株がじわじわ増えて不気味だが、季節は関係なく訪れてくれる。

 例年なら露店が出てにぎやかなサクラの名所も、今年はまだ我慢の時。それならば、季節の移ろいに感謝して、じっくりたっぷりサクラを楽しみたい。(増)

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