国原譜

コロナ禍でもさらに潤う超富裕層と飢餓に…

 コロナ禍でもさらに潤う超富裕層と飢餓に苦しむ途上国といった貧富の差の拡大、乱開発や化石燃料の大量使用による地球温暖化などの気候変動。際限なく利潤を追求する資本主義が地球を破壊していく。

 今年の新書大賞に輝いた「人新生の『資本論』」(斎藤幸平著、集英社)を読んで、気鋭の経済思想学者が展開する危機解決策の明晰さと熱気に圧倒された。

 経済成長しながらも技術の進歩により気候変動は防げるとする説を次々と論破。市民協同で参加型の公正な社会の実現を図るため「脱成長コミュズム」を説く。

 斎藤氏は「万人の繁栄と持続可能性に重きを置くという自己抑制」が必要とするが、難しいのは個人の欲望である。資本主義が生き残ったのは人間の性である欲によってではないか。

 仏教の「少欲知足」が浮かんだ。どん欲になるよりも、少ない欲(良い欲)で満足した方が心豊かに生きられる意味と解釈している。

 休日に県馬見丘陵公園や大和川河川敷をウオーキングすると、笑顔で散策する人々に出会う。これも地球環境に優しい「少欲知足」の一つかもしれない。(栄)

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