国原譜

平山郁夫、東山魁夷ら巨匠画家の版画の贋…

 平山郁夫、東山魁夷ら巨匠画家の版画の贋作(がんさく)が大量に出回っているニュースが美術界を騒然とさせている。県内にも贋作をつかまされた被害者がいるかもしれない。

 松本清張の短編小説「真贋の森」を思い出した。不遇の美術研究家が、自分を閉め出した美術界の権威に復讐するため、無名画家に贋作を創作させる。社会派、清張らしい傑作だ。

 もっとも、今回の版画の贋作は、大阪の画商が金儲けのために工房に依頼したらしいから、小説になるような深い背景はなさそうだが。

 古今東西、贋作にまつわる悲喜劇が尽きないように、真贋の見極めは本当に難しい。肉筆画でもそうなのだから、何枚も刷ることができる版画ならなおさらだ。

 美術品などの本物と偽物を鑑定するテレビ番組があるが、評価が絶対的ではないのは言うまでもない。有名な鑑定人の判断だから信頼できる公算が大きいだけだろう。

 21日付本紙に県高校生アートグランプリの入賞作品がカラーで掲載されていて、若者のみずみずしい感性に魅了された。ここには偽物は1点もない。(栄)

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