国原譜

奈良地方気象台は26日、サクラの開花を発表した。コロナ禍で花見は自粛ムードだが、サクラは変わらず美しい花を咲かす。

 奈良地方気象台は26日、サクラの開花を発表した。コロナ禍で花見は自粛ムードだが、サクラは変わらず美しい花を咲かす。

 気象台の開花宣言の対象は全国一律でソメイヨシノだ。しかし、県内各地でサクラを撮り続ける映像作家の保山耕一さんは、その違和感を自身のSNSで指摘する。

 奈良にはソメイヨシノ以外にも数多くのサクラの名木がある。早咲きで知られる氷室神社のシダレザクラから、4月末から5月初めに可憐な花を咲かす奈良公園のナラノヤエザクラまで、種類も開花の時期もさまざまだ。

 奈良の人々は多彩なサクラの花を見て、繊細な季節の移り変わりを感じてきた。「都会の価値観を奈良に押し付けられても、奈良で暮らす人の実感とは微妙に食い違う」と保山さん。

 決まった時期に必ず咲き、短い間で散ってしまう。そんな力強さとはかなさを併せ持つサクラを古来、人々は人の命と重ねる。

 与えられた時には限りがあり、一日一日を大切に生きなければならない。疫病の感染拡大で社会不安が広がるなか、今年も咲いたサクラを見てあらためて感じた。(法)

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