東京オリンピック、パラリンピックの開催についてIOCが延期という選択肢を示した。中止ではなかったが、その不透明感には困惑も広がる。

　いつまで先延ばしにするのか。ところてん式に後続の行事もすべて日程を変更できるなら良いが、選手の予定や会場の確保は容易ではない。

　県内では宿泊業者が修学旅行の延期に神経をとがらせている。時期によって一般旅行者との調整が必要になるし、柔軟な受け入れができなければ他の観光地に取られる懸念もある。

　新型コロナウイルスによる影響は現時点で終息時期が見通せていないだけに、改めて計画が決まるまで待てる体力があるのかも課題になる。

　五輪開催に伴うインバウンドの増加や景気の盛り上がりを当て込んで投資した企業、業界にとって大会の中止はもちろん延期も死活問題。そうした状況は県内経済にも影を落とす。

　新型コロナウイルス感染症は一時的な流行にとどまらず、多方面に長期の影響を残す歴史的な事件になるのだろうか。世界的な大災害の中で、観光など県経済も官民挙げた生き残り策が求められそうだ。(松)