国原譜
15日に終了したNHK大河ドラマ「いだてん」の期間平均視聴率が史上初めての1桁台に終わった。なじみが薄い人物や物語の複雑さが要因らしい。
15日に終了したNHK大河ドラマ「いだてん」の期間平均視聴率が史上初めての1桁台に終わった。なじみが薄い人物や物語の複雑さが要因らしい。
しかし、視聴率とは対照的に中身は濃かった。大正元年の日本の五輪初参加から昭和39年の東京五輪までの物語だが、単に五輪賛歌ではなく負の歴史までも描く。
権力者の介入や政治利用、戦争、差別偏見、商業主義、選手への過度の重圧―。現代にも通じる問題であり、「選手ファースト」の言葉が空しく感じる。
しかし、暗くはならず、テンポの良い会話で物語を進めた。伏線も最後にきっちり回収され、終わった後はすがすがしさを覚えた。
最終回、東京五輪開催を成し遂げた主人公田畑政治に、柔道家の嘉納治五郎の亡霊が「これが、君が世界に見せたい日本かね」と問う。日本の大陸侵略が続く中、最後は返上することになる昭和15年の東京五輪を押し進める嘉納に対して、田畑が投げかけたのと同じ言葉だ。
「はい。いかがですか?」。田畑はきっぱりと答える。2度目の東京五輪を控えた私たちも同じように答えられるだろうか。(法)
しかし、視聴率とは対照的に中身は濃かった。大正元年の日本の五輪初参加から昭和39年の東京五輪までの物語だが、単に五輪賛歌ではなく負の歴史までも描く。
権力者の介入や政治利用、戦争、差別偏見、商業主義、選手への過度の重圧―。現代にも通じる問題であり、「選手ファースト」の言葉が空しく感じる。
しかし、暗くはならず、テンポの良い会話で物語を進めた。伏線も最後にきっちり回収され、終わった後はすがすがしさを覚えた。
最終回、東京五輪開催を成し遂げた主人公田畑政治に、柔道家の嘉納治五郎の亡霊が「これが、君が世界に見せたい日本かね」と問う。日本の大陸侵略が続く中、最後は返上することになる昭和15年の東京五輪を押し進める嘉納に対して、田畑が投げかけたのと同じ言葉だ。
「はい。いかがですか?」。田畑はきっぱりと答える。2度目の東京五輪を控えた私たちも同じように答えられるだろうか。(法)