奈良県香芝市学童保育所20カ所で2024年の夏休み期間、外遊びゼロ 「人手不足」理由に
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「シダックス大新東ヒューマンサービス」(東京都)が指定管理者として運営する奈良県香芝市の市立学童保育所24カ所中20カ所で、昨年の夏休み期間中(7月21日~8月31日)等に外遊びが全くなかったことが明らかになった。19日、香芝市議会3月定例会の代表質問等で分かった。「子ども真ん中社会」を公約する三橋和史市長は答弁で、児童が校庭を安全に利用できる学童保育所の配置等、整備を進めていく考えを示した。
代表質問で、共産党の青木恒子市議は「市立学童保育所で毎日外遊びしているのは鎌田、旭ケ丘第一のみ」と指摘。青木市議の求めで市が市内の学童保育所に実施した調査によると、夏休み期間の外遊びが全くなかったのは、公立の下田▷五位堂▷二上▷三和▷志都美▷真美ケ丘東▷真美ケ丘西▷旭ケ丘―の20カ所。夏休み中1~3日は関屋第一と第二。鎌田は毎日15分、旭ケ丘第一は毎日45分だった。私立ではおおむね夏季も毎日朝夕の時間帯で計1~2時間外遊びを確保する園や、近くの体育館を借りて遊ぶ園もあり、青木市議は「小学校の体育館を借りるなど、子どもの発達のために適切な場を検討してほしい」と要望した。
担当課がある市教育部は外遊びが子どもの発達、発育に不可欠であると認め、暑さのピークを避けて朝夕に外遊びできる可能性もあるとする一方、実施できていない理由として「児童により登所、降所時間が異なり、安全管理のための指導員が十分に確保できていない」と人手不足を挙げた。
中井政友市議=共産党=は一般質問で、「指定管理者は人手不足解消と児童の活動に魅力があると採択された」と、当初の目的と現状の乖離(かいり)を指摘。担当課が現状を把握していない点も「モニタリングすることになっていたが丸投げの状態」と問題視。「夏以外の長期休みや平日も外遊びがないと保護者から相談がある」とさらなる検証、早急な環境改善を求めた。
同市では1月の機構改革で、学童保育の担当部署を教育部学校教育課に変更。小学校との連携強化により、就学児へのきめ細かな行政対応を目指している。
三橋市長は「公立学童保育所の保安面で、管理者に丸投げがあるならば改めなければならない。民間で見習うべき点は見習い、施設面で学校の校舎を利用できない場合も、学校の校庭等を安全に利用できるよう配置を工夫し整備していく」と答弁し、課題解決に前向きな姿勢を示した。