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レスリング・庵野琥士朗 全国高校グレコローマン選手権51キロ級V - 輝く奈良のアスリート

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初の全国優勝を手にした庵野琥士朗

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 レスリングの第40回全国高校生グレコローマン選手権記念大会(8月17~20日・ 滋賀県ウカルちゃんアリーナ)の51キロ級で、橿原市在住の庵野琥士朗(16・大阪体育大学浪商高校2年)が優勝し、同級出場87選手の頂点に立った。

 

 庵野はトーナメントBブロック2回戦から登場。準々決勝までの3試合全てをテクニカルフォールで制し、翌9月19日のファイナル進出を決めた。

 

 最初の山場は準々決勝の椎名遥玖(東京・文化学園大学杉並高校)との対戦。椎名は小学6年生で出場した全国大会で敗れるなど、一度も勝てなかった相手だった。その時は手も足も出なかった。「今度こそ勝ちたい」、そんな思いがふつふつと湧き起こる。しかし、いざ相手と組んでも、果たしてどちらの力が上回っているかは判然としなかった。

 

 残り4分31秒に庵野は警告を受け、床に伏せた状態からの試合再開となった。不利な状況だったが、椎名が技を仕掛けてくる隙を突いて背後を取り、得意技の俵返しが出た。初戦から勝ち上がってきた技だ。大技を立て続けに決め、最後はローリングで10―1のテクニカルフォール。1分51秒で勝敗が決した。庵野はこの勝利で、「めちゃめちゃ勢いが増した。決勝に行くしかない」と思ったという。

 

 敗れ続けた相手を下した勢いのまま準決勝もテクニカルフォールで、鹿児島国体の覇者、宮原拓海(佐賀・鳥栖工業高校)に勝利。自身初となる全国の決勝にコマを進めた。

 

 決勝の北島魂(京都・丹後緑風高校)戦は、7点を先制される危機に陥った。8点差を付けられたら試合が終わってしまう。しかし、庵野は「焦ることなく落ち着いていた」と振り返る。相手に攻める隙を与えないように果敢に攻め込み、俵返しに持ち込もうと背後を狙う。徐々に点差を詰める庵野。その猛攻に焦りを感じたのか、北島は足で攻撃を防御するなどして警告を3回受け、得点は10―13で相手が上回っていたが、庵野の勝利。優勝が決まった。

 

 中学時代は3年次に西日本中学生選手権大会で優勝し、全中、中学選抜でも上位に入った。しかし、高校に進学してからは6月の近畿大会、8月のインターハイ、1月の近畿大会でいずれも初戦敗退している。全グレの前回大会にも出場しているがこちらも初戦を突破できなかった。

 

 それが今年度に入り4月のJOCジュニアオリンピックカップで3位、近畿大会優勝、インターハイ個人16強入り、団体2位と躍進した。庵野はその理由について、「個人出場を逃がした全国高校選抜に団体で出場したが、仲間、ライバルを見て焦りを感じた」と話す。全国選抜からジュニア五輪までわずかひと月。その限られた期間に、焦る気持ちを飛躍のバネにした。

 

 「自信があった」と満を持して手にした栄冠。しかし、庵野は「(決勝は)完全な勝利でなかったので悔いが残る。俵返しで決めたかった」と、喜びよりもさらに高みに登るための糧にする。「全部の全国大会を制し笑って高校生活を終えたい」、不敗の決意を胸に次のマットに挑む。(有賀哲信)

 

 

庵野琥士朗の戦績

【2023年度】

6月近畿大会 初戦敗退(フリースタイル)

8月インターハイ 初戦敗退(フリースタイル)

8月全グレ 初戦敗退

1月近畿大会 初戦敗退(フリースタイル) 全国選抜個人出場権取れず

 

【2024年度】

4月JOCジュニアオリンピックカップ 48キロ級3位(グレコローマン)

6月近畿大会 1位(グレコローマン)

8月インターハイ 個人戦55キロ級ベスト16(フリースタイル)

8月インターハイ 団体戦55キロ級 大阪体育大学浪商高校 2位

 

プロフィル

庵野琥士朗(あんの・こじろう)

2007年10月25日生まれ。橿原市出身。橿原市立橿原中学を経て、現在、大阪体育大学浪商高校2年。小学3年でレスリングを始める。中学3年時に第32回西日本中学生選手権大会男子52キロ級で優勝。同年の全国中学生選手権、全国中学選抜U15選手権にフリースタイル男子52キロ級で出場し、いずれも5位。JOCジュニアオリンピックカップ(U17)には2023年から2年連続で出場し、今年はグレコローマン48キロ級で3位に入った。

 

 

2024年10月9日付・奈良新聞に掲載

 

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