前節での悔しいドローに続き、再び勝ち点1を分け合う形となった第30節。中田監督就任から4戦連続のドローでサポーターは勝利を待ち望むが、勝ち点は着実に増えている。今節は、先制しリードしながらも最終盤に追いつかれた前節を経て、選手たちのプレーにさらなる変化を感じた。

　対戦した松本山雅FCは現在、昇格圏内を視野に捉えて勢いづいており、前節でもカマタマーレ讃岐を4―1と大差で下していた。今節でも多くの時間で主導権を握り奈良サイドに攻め込み続けたが、奈良クラブはその猛攻を冷静に、強い気迫をもって押し返し続けた。

　唯一の失点も、松本山雅の山本が上げたクロスにゴール前の選手が合わせきれず、マルクヴィトの死角から流れ弾のようにゴールに転がり込んだ形だった。それ以外は、さまざまな方法を用いて攻め立てる松本山雅の攻撃を、落ち着いて連係し何度となく跳ね返した。身構えている時の奈良クラブのディフェンスはたやすく崩すことはできない。

　攻撃面では手数こそ少ないものの、最前線の松本に向けてのロングボールをはじめ、岡田優と国武が決定機を狙いつつ、サイドの生駒や西田、中盤からも堀内や神垣が隙あらば鋭い攻撃をみせた。先制された直後の同点弾も、左サイドから西田が攻め上がり、岡田優が奥へと切り込んでクロスを上げ、相手DFに張り付かれた松本が決め切れなかった浮き球を生駒がボレーシュートで鮮やかに決めている。

　中田監督は「就任し4引分けという結果なので決して満足はしていないが、その中でも選手たちの成長がうかがえた試合となった」と今節を振り返り「4戦目にして初めて先制されたところは改善の余地があると思う。その後追いついたところは成長した点で、前半より後半の方がより相手を追い詰めたのではないかとみている」とコメント。前節では、先制し試合を優位に進めながらもアディショナルタイムに同点とされたことに対し「勝つために必要な試練ということを冷静にかつ客観的に見ることが必要」と話していたが、今節では「すべきことを冷静に理解しながらプレーしていた」と評価。さらに「選手たちが悔しそうにベンチに帰ってきたことが希望。勝利に飢えていることを再度噛みしめながら、この現状を自分たちの力で変えるという情熱のもと、また次の試合に向けて取り組みたい」と期待をかけた。