奈良県香芝市の三橋市長が「公権力の在り方として問題がある」 - 市議会議長の奈良新聞のみ撮影不許可巡り
「取材の自由を十分に尊重に価するのは当然」
「恣意(しい)的な議会運営をしている」として自身に対する不信任決議が全会一致で可決された2日の奈良県香芝市議会の9月定例会で、川田裕議長が議場の写真撮影を奈良新聞のみ許可しなかった問題で、三橋和史市長は3日、「どんな記事を書くかによって、恣意的に取材を制限することは公権力の在り方として問題がある」などと見解を示した。また、川田議長が「写真を使ったら訴える」としたことには訴訟提起の権限は市長にあり、訴えの考えを否定した。
川田議長は議会の冒頭、「報道機関に撮影を許可している」と述べていたが、複数の報道機関が撮影する中、奈良新聞にのみ議長席から撮影を止めるよう指示。議会事務局の職員が撮影を制止した。
報道各社の取材に、撮影不許可の理由を「(6月議会の動議不成立の記事などで)偏向報道と思われる記事があった」としたが、具体的な記事や部分については説明しなかった。
弁護士でもある三橋市長は、法律家の立場から「議会の撮影は建前上は許可制だが、原則許可しなければならない。取材の自由が憲法に由来し、十分に尊重に価するのは法曹界でも当然の認識として判例も確立されている」と指摘した。
さらに議会の休憩中、川田議長が本紙記者に「写真を使ったら訴える」と発言したことについては、「訴訟提起については市長の権限。この件で損害賠償請求する方針は全くない」と否定。今回の問題点として、三橋市長は議員や職員の法律知識の不足を指摘。憲法や行政法を学ぶ職員研修を開催する方針を示した。