負債額5000万円未満が最多 - 6月の奈良県内企業倒産
帝国データバンク、件数は4カ月連続前年同月上回る
民間信用調査会社2社は22日までに、6月の奈良県内企業倒産状況(負債総額1千万円以上)を発表した。
帝国データバンク奈良支店によると、件数は前年同月比6件(200・0%)増の9件で、4カ月連続で前年同月を上回った。前月からは5件(35・3%)減り、2カ月ぶりに1桁台になった。
負債総額は前年同月比4億5400万円(95・0%)増の9億3200万円。前月比でも負債額が6億円を超える案件があったため、2億9200万円(45・6%)増えた。
負債額別は5千万円未満が7件で最も多く、1億円以上5億円未満と5億円以上10億円未満が各1件。業種別では小売業が4件、建設業と製造業が各2件、卸売業が1件だった。
資本金別は個人経営が5件と最多で、1千万円以上5千万円未満が3件、5千万円以上1億円未満が1件。従業員別は10人未満が8件、10人以上50人未満が1件だった。
倒産形態は破産が8件、特別清算が1件。原因別では販売不振が7件、その他の経営計画の失敗、その他が各1件だった。
同支店は「倒産の状況を見ると、円安の長期化や物価上昇、賃上げの不調の中で、消費が確実に低迷していることが読み取れる。特に体力のない小規模事業者、個人経営者への影響は大きく、人材確保に苦しむ事業者も散見され、今後も倒産件数の増加が懸念される」としている。
一方、東京商工リサーチ奈良支店の調べでは、件数は前年同月と比べ2件(25・0%)増の10件で、2カ月連続で前年同月から増加した。前月からは6件(37・50%)減ったものの、今年3度目の2桁件数となった。
負債総額は前年同月比で7700万円(14・61%)減の4億5000万円で、2カ月ぶりに前年同月を下回った。前月からも4億5700万円(50・39%)減った。
負債額別は1千万円以上5千万円未満が9件でほとんどを占め、1億円以上5億円未満が1件。産業別では製造業とサービス業他が各3件、小売業が2件、建設業と不動産業が各1件だった。
資本金別は個人企業他が5件で最も多く、1千万以上5千万円未満が3件、5千万円以上1億円未満と100万円以上500万円未満が各1件。従業員別では5人未満が9件、5人以上9人未満が1件だった。
形態別では破産が8件、特別清算と取引停止処分が各1件。原因別では販売不振が大多数の8件で、既往のしわ寄せ、その他が各1件だった。
同支店は「2024年問題に加え、大阪・関西万博や増加傾向の訪日客への対応などもあり、県内でも強い人手不足感と賃上げの負担増がうかがえる。円安による個人消費の弱含みも、内需型が多い県内中小企業への影響は大。国の経営効率化促進の過程で事業の選別も進み、倒産の増加基調は変わらないとみられる」としている。
2社が発表する調査結果は、調査対象や集計時期などの違いで異なる。