プリントショップからフォトスタジオに 新店舗続々、AIも視野に「キャラット」 - 奈良の自慢企業(23)
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大学生の頃、友人が集まれば必ず誰かが使い捨てカメラを持っていて、撮り終わるとすぐにプリントショップに持って行き、45分とか60分で現像された写真を皆で見ていた。そんな古き良き思い出には欠かせない「プリントショップ」から、キャラットも始まった。
社長の佐野隆之さんは奈良県香芝市で生まれ育ち、地元大学を卒業後は建設会社に就職したが、元より起業したいという思いもあり、長く続いている産業でイノベーションを起こせるものはないかと思案するうち、プリントショップに行き着いた。自動現像機を置くことができれば比較的狭いスペースで開業できることもメリットだったようだ。
それまで、町のカメラ屋さんやプリントショップといえば、写真好きのおじさんが経営する店が多かったが、佐野社長と奥様の2人で香芝市西真美にオープンしたプリントショップは瞬く間に人気店となった。開業から1年後には隣のテナントも借りて2倍の広さになったそう。そのうち、同世代のヤングファミリー層から写真を撮ってほしいと言われることが増え始め、徐々にフォトスタジオとしての業務にシフトしてきた。
デジタルカメラの普及が本格化する中、2000(平成12)年には「スタジオキャラット香芝本店」をオープン、写真撮影も一気にデジタル化を進めた。その後は「スタジオキャラット」を主軸ブランドとして毎年2~4店舗ほどのペースで新店舗をオープンしてきた。現在ではファミリー層向けの「キャラット」、ウエディングフォトの「クレール」、振袖のレンタルと成人式写真の「スタジオラブリ」、スタジオを2時間貸し切りできる「スタジオコフレ」の4ブランドで、合計104店舗を展開している。
中でも家族でゆっくり時間を使って、リラックスした日常の表情を写真に残す体験ができる「スタジオコフレ」は、20代から30代の若い主婦たちから熱い支持を受けているようだ。
佐野社長は、今後はフランチャイズも含めて年間20店の新規店舗をオープンし、5年後には200店舗を目指すとともに、AIを活用したさまざまな分野での省力化、自動化を進めていきたいとしている。近い未来に、次世代のフォトスタジオが見られるかもしれない。(帝国データバンク奈良支店長・近藤穣治)
【メモ】
キャラット
香芝市鎌田416の1