奈良県代表 6年ぶり初戦突破 - 奈良クラブ

「経験」が生んだ逆転劇
西田気迫ヘッド 鈴木が千金V弾
25日にロートフィールド奈良で行われたサッカーの天皇杯1回戦で、奈良クラブが京都産業大学(京都府代表)を3―2で下し、県代表が6年ぶりに初戦を突破した。
「立ち上がりから殴りに行く」(京産大・吉川監督)と意気込む相手に、奈良クラブは前半で2点の先制を許した。京産大は徹底してゴール前にボールが運ばれるのを防ぎ、臆面もなく正面から力ずくで攻め込んできた。
流れを引寄せたのは2点目を失った直後。マルクのゴールキックをダイレクトに受けた西田が頭で合わせた。その際、相手キーパーと激突し左肩を負傷。「痛みでボールの行方は追えなかったが、少なくともファウルは取れただろう」と振り返る西田。2点ビハインドとなりながらも、京産大の攻撃に勢いがある分、ゴール付近のスペースが空き気味になっていることを冷静に観察していた。その間隙を巧みに突く一手となった。
2点目は後半、相手のオウンゴールを引き出した。そして決勝点はアディショナルタイム1分。それまで6本のコーナーキックの好機を得点につなげられなかった奈良クラブは7本目、土壇場で逆転のネットを揺らすことに成功した。
プロ対学生の勝負。絶対に負けられない思いが足かせにならなかったのか。勝ち越しヘディング弾を決めた鈴木は「大学時代、天皇杯でJ1、2、3のチームに勝利した経験がある。決して自分たちが格上とは思っていない」と話す。奈良クラブのフリアン監督は「技術的な差はほとんどなかった。あったのは経験の差だ」。
天皇杯2回戦は6月12日、鹿島アントラーズ(J1)との対戦となる。それに先立ち、同月2日には東大阪市の花園ラグビー場でFC大阪(リーグ6位)と「生駒山ダービー」、翌週の同8日にはロートフィールド奈良でSC相模原(4位)とホーム戦を行う。シーズン終了時に振り返り、「あそこがチームの転換点となった」と言えるような戦いぶりを期待したい。(有賀)