「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」の世界遺産登録目指し、まちづくりの課題探る 関西国際大・宗田さんら橿原で講演会
「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」の2026年の世界遺産登録を目指す同登録推進協議会(会長・山下真知事)は20日、奈良県橿原市小房町のかしはら万葉ホールで、講演会「地域とあゆむ世界遺産〜『飛鳥・藤原』の世界遺産登録を目指して〜」を開き、約300人が参加した。
山下知事が「世界遺産登録を目指すには地元の皆さんの応援が必要。改めてその価値を認識していただき、われわれの活動をバックアップしてもらいたい」と呼び掛け、橿原市、桜井市、明日香村の各市長、村長があいさつした。
同協議会の森井順之事務局長が「『飛鳥・藤原』の世界遺産としての価値について」と題し、世界遺産制度の概要などを説明。「価値の証明と保護措置が十分であることをユネスコに説明し、理解を得ることが必要」と述べた。
続いて、関西国際大学国際コミュニケーション学部長の宗田好史さんが「世界遺産のある地域のまちづくり」をテーマに基調講演。世界遺産が多数あるローマなどを例に挙げ、まちづくりの課題などを探った。
宗田さんは、ローマでは遺跡が世界遺産登録されたことで世界中の目が集まり「遺跡の保存とその見せ方も発展した。農地や宅地、高速道路の道筋すらも地形を尊重した古代の地籍に沿って造られている」と説明した。
人口減少が進む日本各地でも郊外の宅地造成、持ち家制度は限界にきているとし「経済成長の都市像は不要になり、成熟した先進国型の都市、農村の将来像を描く時代となった」と述べ、「歴史まちづくりを進め、日本の始まりの地という認識を世界に広めるような世界遺産登録を心から願っている」と強調した。