音羽山観音寺後藤住職の花だより - ギンナンの皮むきおこぼれ話編 2023年10月上旬
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取材が奉仕になった日。その奉仕はギンナンの皮むきでした。1日で終わるものではなく、1日で箱1つ片づけることがやっとでした。住職は要領良くて手の動きに無駄がありません。記者の倍の速さで皮をむいていました。何年も同寺を訪れ取材をしていますが、奉仕して分かることもありました。
参拝者も奉仕する 信者が支える観音寺
住職はいつも台所にあるカレンダーを見ています。手帳を持つことはなく、1つのカレンダーに予定を書いています。10月のカレンダーも用事で文字だらけになっていました。住職は予定に合わせて行動しています。
ところが取材の日の前日、雨が降りました。雨が降る時は風も伴うようで、駐車場からお寺までの参道は木の枝がたくさん落ちていました。『参拝者が危ない』『生活用の車が通るので住職がお困りになる』という気持ちで、見つけた枝は谷に落としたり、山に投げ入れたりして参道を歩きます。
観音寺に到着するとギンナンが歩く隙間がないくらい落ちていました。
「ギンナンを優先しちゃった」
住職の心の声が聞こえてしまいました。
手袋のままバケツに入れた湯で洗い専用タオルで拭く。それから手袋を外す。
汁が手に直接つかないようにする方法。住職は湯の温度を確かめている
住職と親しくなるとなんとなく(明確ではない)当日の奉仕をおねだりされることがあります。住職のうれしそうな顔が見たくて奉仕してしまうのです。
さて暑くもなく寒くもなく、標高600mの音羽山観音寺を訪れるのにちょうど良い季節になりました。
ギンナンの皮むきの合間にお手伝いの人が参拝者の対応をします。今日の参拝者は奉仕希望者です。
「そうだね。ギンナン拾ってもらおうかしら?」
奉仕して帰る参拝者は、年間で10人くらいいるそうです。
犬のオサムの前でギンナンの皮むきをします。そこまで運搬用の一輪車で拾ったギンナンを参拝者が運んでくれました。ギンナンは種が食用。皮は廃棄になります。
ギンナンの皮を集める一輪車
「その皮を待っている子がいるのよ」
待っている子は野生の鹿でしょうか? 別の一輪車に皮を集めています。
「重たいからね。動かすの危ないから夕方に来るFくんに頼んじゃおうか」
Fさんの当日の奉仕がこうして決まるのでした。
見えてるところのギンナンは全部拾った
音羽山観音寺
山の中にある尼寺。桜井市南音羽
JR・近鉄桜井駅下車、桜井市コミュニティバス談山神社行、下居下車、約2km。火曜日閉門。
17日の御縁日が火曜日の時は開門、翌日閉門