加藤商店 「伝統の味」を全国へ - ピックアップ 奈良の注目企業(6)

日本政策金融公庫奈良支店 山田聖
2020年に創業100年を迎えた加藤商店(加藤隆一社長)は、1920(大正9)年の創業以来、奈良漬を作り続けている全国でも数少ない奈良漬専門メーカーだ。
同社の看板商品は、原料・酒かす・製造工程にこだわり抜いて製造した、オリジナルブランドの「うねび漬」。大和三山の一つである「畝傍山」をその名の由来としている。
素材となる野菜は、契約農家で丹精込めて育てられたものを使用する。厳選された野菜を、まずは2カ月から3カ月塩漬けにしてじっくりと寝かし、その後酒かすを変えつつ7回も漬け替えることで「うねび漬」は完成する。製品になるまで約1年、スイカにいたっては約2年半を費やす。複数の工程を経ることで酒かすの香りとうまみをじっくりと野菜に染み込ませ、口あたりが甘く柔らかな味に仕上げている。
高級な味わいは評判を呼び、高級料理店の前菜や大手百貨店のカタログギフトにも選出され、進物としてもよく利用されている。全国どこからでも購入できるように、ネット通販にも力を入れている。
加藤社長は「今後も原料・製造工程には手間暇を惜しまず、自分たちの子どものように育てた奈良漬けを全国の人に味わってもらえれば。この味と奈良の伝統を今後も100年、200年と守り続けたい」と意気込みを語る。
加藤商店
奈良県大和高田市片塩町13-10
電話:0745(22)0033