遅咲きでスピードクライミング日本代表に 【東奔西走】
世界に挑戦するシングルマザーのクライマー 林 奈津美さん(31)
高さ15メートルの壁をどれだけ早く登れるかを競うスピードクライミングで日本代表に選ばれた。
10代、20代の選手が世界を目指してしのぎを削る競技で、日本代表としては最年長。本格的に始めたのも2年ほど前と、遅咲きの選手キャリアだ。
「昔から体を動かすことが好きで趣味としてクライミングを始めたのがきっかけ。23歳の時にジムで初めて挑戦した。すぐに魅了されて、周囲の勧めもあり、選手として練習に取組むようになった」。
当初は制限時間内で複数のコースをいくつ登れたかを競う「ボルダリング」中心だったが、2021年にスピードを競う今の競技へ転向した。
「スピードクライミングはまだまだマイナーな競技」といい、練習や遠征にかかる費用は自費だ。12歳の娘と暮らすシングルマザーでもあり、普段は介護施設で働いて生計を立てながら、選手としての活動費も工面している。仕事と競技との両立に無理がたたり、顔面神経まひを発症したこともある。昨年からはクラウドファンディングにも挑戦し、活動資金を集めている。
現在は24年のパリ五輪出場が目標。競技により集中できるようにスポンサー企業も探している。世界の頂を目指して挑戦は続く。(はやし・なつみ=香芝市)