世界遺産登録へ 6月29日、推薦書素案を文化庁に提出 - 飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群
世界遺産登録を目指す「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」について、奈良県と橿原市、桜井市、明日香村でつくる登録推進協議会は20日、登録手続きに必要となる推薦書の素案をまとめ、29日に文化庁に提出すると決めた。協議会は2024年の登録を目指しており、今回の書類を「最終素案」と位置づける。本年度の国の文化審議会で国内候補に選ばれるかが、実現に向けた第一関門になる。
「飛鳥・藤原」は政府が2007年、世界遺産の暫定リスト(候補リスト)に記載した。飛鳥時代の宮殿や仏教寺院跡、墳墓、計20の構成資産からなる。飛鳥宮跡、藤原宮跡・藤原京朱雀大路跡、飛鳥寺跡、山田寺跡、キトラ古墳、高松塚古墳、大和三山(香具山、畝傍山、耳成山)などが含まれている。
協議会は2020年、21年の過去2回、推薦書の素案を国に提出。その都度、文化審議会や専門家から示される課題をもとに、練り直しを進めてきた。
今回の素案では「飛鳥・藤原」を、東アジアとの政治的・文化的交流を通じ「日本で初の中央集権国家が誕生したことを示す比類のない資産」と説明。一群の考古学的遺跡の変遷から「6世紀末~8世紀初頭における都城の形成過程を端的に示すことができる唯一の歴史的証拠」と強調した。
この日、協議会は奈良市内で会合を開催。終了後の記者会見で、会長の荒井正吾知事は「長年の関係者の努力でここまでくることができた。登録に向けてもうひと踏ん張りしたい」。15の構成資産がある明日香村の森川裕一村長は「世界遺産登録『レース』のスタートラインに立てた。ハードルを一つ一つ乗り越えていきたい」と述べた。
国の文化審議会は、早ければ夏に開催を予定。本年度は「彦根城」(滋賀県)も名乗りを上げており、多くとも1枠しかない国内候補を巡って競合する見通しだ。