田原本町の夏祭り「ぎおん祭」で、諸団体のパレードが主会場周辺であった。神戸市のサンバチームも登場し、華やかな踊りと軽快な音楽を周囲に振りまいた。

　「どこの祭り」とのつっこみも入りそうだが、住民らにはなかなかの人気ぶり。聞けば、サンバチームはパレードの常連だったが、最近は途絶えていたらしい。

　待望の復活に相好を崩し、ダンサーと手を合わす初老女性の姿も。各人各様の夏祭りの断面が、素敵な記憶として刻まれているのが伝わってきた。

　主会場では、結婚して子どもが生まれ久々に家族で訪れたという男性や、娘が出演するステージの応援が目的との母親らにも出会った。今までとは違った祭りの景色が見えたことだろう。

　担い手不足の中でも継続していたのに、新型コロナ禍での中止を機に消滅した祭り、イベントもあると聞く。危機を乗り越えた、出会いや発見に満ち、優しい夏の記憶にもなっていく地元の催事は規模、有名無名問わず大切にしたい。

　祭りは複数でなくとも、一人で訪れても楽しみ方があることは経験から分かる。まず出向いてみては。(智)