きょう5月29日は、大阪・堺生まれの与…
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きょう5月29日は、大阪・堺生まれの与謝野晶子の命日。1942(昭和17)年に63歳で亡くなり、「白桜(はくおう)忌」と呼ばれている。日本を代表する女流歌人の一人であり、一方で社会運動家の側面もあった。
その晶子の歌を生涯研究し続けたのが、故・入江春行さんだった。奈良市在住の国文学者、元大谷女子大教授で、2022年6月3日に94歳で逝かれた。
1973年3月の創刊以来、年に5回発行した冊子「与謝野晶子研究」は、紙齢を重ね2019年の232号まで、46年もの長きにわたるライフワークとなった。
入江さんは、晶子の歌を「中身は斬新、表現は伝統的」と評した。また、自由な恋愛や反戦でも知られる晶子は「多面的でスケールの大きいところも魅力」と話されていた。
仕事の関係で、何回かご自宅を訪ねたが、書籍がうず高く天井近くまで積まれていた情景は忘れられない。「飄々(ひょうひょう)」という形容がふさわしい、優しいお人柄の先生だった。
コツコツと地味な編集作業を支え、12年に亡くなった亡妻の追悼歌集も作った愛妻家でもあった。(恵)