まちの「本屋」が次々と姿を消している。…
まちの「本屋」が次々と姿を消している。出版文化産業振興財団の調査によると、今年3月現在、書店が1店舗もない自治体の割合は、全国平均で27・7%に上る。奈良県は51・3%で全国ワースト3だ。
筆者の周辺では、小さな店だけでなく、中規模店の閉店も多い。人口減のほか、インターネット通販や電子書籍の普及などを背景に書店離れが加速している。
現状に危機感を持った経済産業省は書店振興に向けたプロジェクトチームを3月に設置。今後、具体的な支援策を検討するという。
最近ではカフェなどを併設し、本以外の魅力づくりを狙った書店も多い。ただ、大規模書店だからこそ出来る取り組みで、まちの「本屋」では難しい。
書店の危機には人手や後継者の不足のほか、書店の利益の低さなど構造的な問題もある。地域の文化発信拠点である書店を守るためには、われわれも利便性や効率だけを求める姿勢を改める必要がある。
書店は新たな本との出会いの場だ。通販は便利だが、書店のように実際に本を手に取ることができない。もちろん、立ち読みは良くないが。(法)