本や文章の面白さに触れる方法はさまざま…
本や文章の面白さに触れる方法はさまざまある。朗読もその一つと、先日あらためて気付いた。
三宅町での「大人の朗読発表会」では、十数人の出演者が絵本やエッセイ、怪談話、詩などを抑揚をつけ情感豊かに語った。講談本を読む人もいて、朗読は話芸とも思った。
音読の時期を過ぎ、子どもへの読み聞かせ期間を終えると、一般的に声に出して本や文章を読む機会は減る。だが言葉の響き、美しさを楽しめるのは声に出してこそ、との考えを発表会で強くした。
カヌーイストで作家の野田知佑さんの「ナイル川を下ってみないか」(モンベル・ブックス)に、海外の川の野営地で出会った多国籍のカヌー仲間と、詩の朗読を披露し合う場面がある。ヴェルレーヌの「秋の歌」は各人の国の言葉で。
その情景を空想するとき、知識、教養の必要性とともに朗読の存在意義も感じる。野田さんの日本語は他国の旅人にどう響いただろう。
朗読の前段の音読は、読解力や記憶力、対話能力の向上などに効果があるといわれる。それはともかく、言葉を発して読む表現の魅力にひかれ始めている。(智)