先日、奈良市の霊山寺で営まれた薔薇会式…
先日、奈良市の霊山寺で営まれた薔薇会式(ばらえしき)を拝観する機会を得た。本尊薬師如来と八体仏にバラの花を供えて健康と幸福を祈る。
寺の案内によると境内のバラ園は先代住職が戦争体験から平和を願って1957年に開園したとあり、毎年約2千株の花が参拝者を迎える。
その最盛期に行われる薔薇会式は、12支の面をつけた干支面者とバラ御輿(みこし)などが境内を練り歩き華やか。また10月にも秋咲きのバラに合わせて秘仏が公開されるという。
古く飛鳥時代にさかのぼる歴史を持ち、奈良時代には聖武天皇の勅で行基菩薩が大堂を建立、霊山寺の名称はインド僧菩提僊那が奏上した。
国宝重文建物6棟が残る一方でバラ園にはおしゃれな喫茶店も。受け継がれてきた長い歴史と現代人に親しみやすい行事。奈良市内に多い古寺大寺とは少し違う魅力かもしれない。
すぐ南には最近の調査で脚光を浴びた富雄丸山古墳があり、隣接地では県の道の駅整備が進む。従来の観光コースからは離れた富雄川沿いの一帯だが、道路整備と相まって改めて注目したいスポットだ。(松)