国原譜

10円玉が時を刻むように軽やかな音を立…

 10円玉が時を刻むように軽やかな音を立てて落ちていく。テレホンカードの表示度数がみるみる減っていく。もはやドラマや映画でしか見ることのないシーンだが、公衆電話がさらに遠いものとなりそうだ。

 総務省は公衆電話の新しい設置基準をまとめた。市街地でおおむね500メートル四方、その他の地域は1キロメートル四方に1台だった現在の基準を、それぞれ1キロメートル四方と2キロメートル四方に改める。

 犯人が公衆電話に次々と電話をかけて身代金の受け渡し場所に誘導する手口は刑事ドラマでよくあったように思うが、新基準で設置が義務づけられる公衆電話は現在の約4分の1。電話にたどり着くのさえ難しそうだ。

 携帯電話が当たり前の今、公衆電話が最も必要とされるのが災害時だろう。阪神大震災が起きた平成7年には、NTTの任意設置を含め、全国に約41万台の公衆電話があった。

 子どもの多くは公衆電話を知らなかったり使ったことがないといわれるが、いざという時は頼りになる。

 使い方の習得と合わせ、テレホンカードを1枚、カードケースに入れておくのも、備えだろう。(増)

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