国原譜

八ケ岳で絶滅したとされるライチョウが生…

 八ケ岳で絶滅したとされるライチョウが生息していた―。新田次郎の小説「まぼろしの雷鳥」は、国の特別天然記念物、ライチョウを素材にしたフィクションだ。

 物語の発端は東京の女性から長野県茅野市の市長に送られてきたライチョウの写真。「八ケ岳天狗岳にて撮影」と裏書きされた写真の真偽を確かめるべく、市役所に勤める関沢は八ケ岳に向かう。

 関沢は撮影した証拠写真とともに雪崩に消えるが、八ケ岳で再びライチョウを見られる日が来るかもしれない。環境省が南アルプスの北岳近くでライチョウのひなを一定期間外敵から守って自然に戻したところ、初めて繁殖に成功した。

 ライチョウの激減は環境変化や外敵の増加が原因とされる。最近は登山者の残したごみが高山帯にキツネなどの外敵を招く一因になっているという。

 国の天然記念物「奈良のシカ」は今年、1360頭が確認された。昭和30年に頭数調査が始まって以来、最多という。

 一方で、観光客が持ち込んだビニール袋や紙を食べて体を壊す鹿は今もいる。人もまた、生態系の一部であることを心したい。(増)

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