国原譜

「やまてつ」と愛着を込めて祖父が呼んで…

 「やまてつ」と愛着を込めて祖父が呼んでいたのを思い出す。大和鉄道として創業を始め、後に近鉄と合併した近鉄田原本線の開業100周年記念イベントが沿線の5町で28、29日にある。

 西田原本駅から新王寺駅までの短い距離(約10キロ)を結ぶ単線。郡部ばかりで市部をまったく通らない。のどかな田園地帯を3両編成で懸命に走っている。

 通勤・通学に利用する人が多い。筆者の小・中学校時代は学校から離れた大字の児童・生徒が利用した。「いいなあ、電車通学できて」と定期券を持つ同級生に憧れたものだ。

 戦時中は燃料不足か燃料不良で列車が途中で止まってしまい、乗客が降りて押したという逸話を聞いたことがある。厳しい内容なのだが、なぜかほんのりとする。

 かつて沿線のニュータウン化によって増えた乗降客は、少子高齢化により減少傾向。平成23年からは西田原本、新王寺を除く途中6駅すべてが無人駅となってしまった。

 が、地域住民にとってはなくてはならない存在だ。乗ったことのない人は「時間がゆっくりと流れる癒やしの電車」を一度味わってください。(栄)

 

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