助け合い、和み合い 奈良市の西大寺で秋の大茶盛式 息災願い、協力して一服
奈良市西大寺芝町1丁目の西大寺で13日、秋の大茶盛式が営まれた。大勢の参拝者が直径30センチほどの大きな茶わんで、同席した人と協力しながら伝統の一服を楽しんだ。
鎌倉時代に同寺を再興した高僧の叡尊(えいそん)が1239(延応元)年1月16日、同寺近隣の八幡神社に復興御礼で献茶し、残った茶を村人に振る舞ったのが始まりとされる。助け合って大きな茶わんで同じ茶を飲み、和み合う心を持つ「一味和合」の精神が込められているという。
光明殿での大茶盛式では、同寺執事が行事の起源を説明したあと、大型の茶わんと茶せんで茶がたてられた。茶わんは顔が隠れるほどの大きさで、参拝者は無病息災を願いつつ、隣席の人に支えてもらうなどして順に茶を味わった。
静岡県で茶農園と茶席を営み、大型の茶わんで茶をふるまう計画もしている鈴木照美さん(65)は、妹の遠山幸子さん(61)=東京都=と来県。「大きな茶わんで茶を飲む理由が聞けて勉強になった。茶わんを製作する窯元も訪れたい」と話した。