災害時の事業継続力強化へ 奈良県が中小企業対象にBCP講座
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奈良県は1月24日、奈良市柏木町の県産業振興総合センターで、県内の中小企業を対象にした「BCP(事業継続計画)レベルアップセミナー 計画実行のための実践力向上に向けて」を開いた。17事業所の担当者が参加し、実効性のある計画づくりや従業員の意識付けについて学んだ。
BCPは災害時などの緊急時に事業を継続させるための計画。今回のセミナーは国の機関から事業継続力強化計画の認定を受けている県内企業を対象とした。
講師を務めたNPO法人事業継続推進機構理事でクロスパートナー代表の黒川久生氏はBCPについて、計画策定ではなく事業継続力強化の視点で捉える必要性があると指摘。策定した計画に沿った訓練を続け、常に改善を図っていくことが、社員や会社全体の対応力強化につながることを説明した。
災害発生後の初動の大切さも強調。ワークショップでは、参加者が自社での役割の分担や内容を含む体制表、災害発生24時間前から発生後1時間、12時間、48時間以内にとるべき行動目標や行動のチェックリストをひな形を参考に作成した。
災害対応の適切さを点数化して認識する災害模擬演習も実施。参加者は災害発生から刻々と変化する状況について、スクリーンに映し出される十数場面ごとにやるべきことを書き出した。
香芝市の印刷用品製造・販売会社の男性担当者(47)は「BCP対策を難しく考え過ぎていた。少し楽な気持ちで計画を策定し、続けていけばいいことが分かった。ひな形を参考に計画を充実させ、社内訓練を重ねたい」と話した。