歴史文化
天下る龍、人々に“喝” 大淀の世尊寺、迫力の大絵馬奉納
日本書紀に「吉野寺」の名で登場する奈良県大淀町比曽の古寺、世尊寺(酒井秀晃住職)の境内に来年の干支を描いた大絵馬が奉納された。縦横1.8メートルの扇形木製パネル。
十七条憲法で和の尊さを成文化した聖徳太子の創建と伝わる寺。大絵馬に描かれた龍は金のうろこを光らせて宇宙から出現し、戦火を燃やす地球に向かって何かを伝えようとしている。
文字で書き入れた「枯木裏龍吟(こぼくりりゅうぎん)」は、どんなものにも存在する価値があると説く禅語だという。住職の母、酒井裕美さん(67)=和歌山県田辺市=が制作した。
今年隠居した20代目住職、本山一路東堂(84)は「争いごとが絶えず胸の痛む事件も多い一年でした。来年こそは、どうぞ平和で穏やかに」と祈りを込めた。