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岩塊除去作業に着手、奈良県内5カ所で緊急点検も - 下北山村の国道崩土事故

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現場に到着した無人作業用重機=25日、下北山村上池原の国道169号

 奈良県下北山村上池原の国道169号で23日に起きた崩土事故について山下真知事が25日、県庁内で記者会見し、経緯と現状、今後の対応などを発表した。県は二次災害が起きないよう工夫して土砂の撤去作業を進めるとともに、類似の危険個所を対象に緊急点検を実施していると報告。併せて今週中にも有識者委員会を立ち上げ、原因究明、復旧工法の検討に着手する。また現場では救出された男性1人以外に別の車が崩土に巻き込まれた可能性が指摘されており、人的被害の早急な確認が求められる。

 

 会見には山下知事のほか、松田浩之危機管理監、清水将之県土マネジメント部長が出席。冒頭あいさつで崩土の被災者、家族に見舞いを表明するとともに「今後は被災者および家族の要望に応じ、丁寧に対処していきたい」と説明。また人的、物的被害の総数はまだ分かっていないとし、緊張感をもって対応を進めていく姿勢を示した。

 

 報告によると崩土が起きたのは23日午後9時ごろ。下北山村の池原ダム貯水池沿いの国道169号で、山側の斜面が崩れ、少なくとも50代男性の軽乗用車1台が崩土に巻き込まれた。

 

 事故原因について山下知事は、しみ込んだ水の凍結と融解が繰り返し発生して岩盤の風化部分が緩み、崩壊につながったとする有識者の見解を紹介。また現場では、2014年の改修で斜面に吹き付けられたモルタルの一部が今年5月、剥落する事故が発生、来年1月から復旧工事を行う予定だったと報告した。

 

 ただ、県は、モルタルの剥落事故と今回の崩土の関係は不明と説明。また入札時に県職員の手続きミスがあり、剥落事故の復旧工事が2、3カ月遅れた経緯も報告したが、清水県土マネジメント部長は「同復旧工事に早く着手しても、今回の事故を防げたかどうかは分からない」とした。

 

 その上で今回の現場と同様に、事故が起きて応急復旧を行った後、本復旧が未着手となっている上北山村白川の国道169号など県内5カ所について、24日に県職員が緊急点検を実施。その結果、「いずれも崩落の危険性は少ないと判断した」と報告した。ただ目視確認の範囲のため、改めて専門家による調査を行うとしている。

 

 下北山村上池原の現場に関しては、有識者委員会で崩土の詳しい原因の究明と復旧工法の検討を進め、早期に工事に着手する方針。また山下知事は、地域住民にとって欠かせない幹線道路で代替道路のない国道169号について「現場周辺は急カーブや急こう配が多く、特に線形が悪い。今後はトンネル建設による抜本的な改良に取り組む」とする考えを示した。

 

 一方、県土マネジメント部の発表によると、崩落現場では、崩れ落ちた高さ約40メートルの上部2カ所で斜面と岩塊の間に大きな亀裂を確認。岩塊除去作業には危険が伴うため、遠隔操作できる無人の重機による作業を決めた。

 

 午後4時すぎ、重機が現場に到着。しかし、照明で十分な明るさを確保できなかったため、夜間作業を中止し、きょう26日午前7時以降の再開を予定している。

 

 また、岩盤を除去した後の道路上の土砂を取り除く作業は斜面の状況を見て判断するといい、さらに土砂が落ちてくる恐れがある場合はモルタルで斜面を固めるなどの対応も準備。道路上の土砂についても無人重機での除去作業を行う。

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