ドローンで農業省力化へ 「フライ」が農薬散布の実証実験
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吉野町の地酒「吉野正宗」の酒米を育てる同町志賀の水田で19日、農業用ドローン(無人航空機)を使った農薬散布の実証実験が行われた。町内で今年3月、農業用ドローン操縦資格を持つ有志グループ「フライ」(車谷年秋代表、6人)が発足し、初の試み。
本体が幅約93センチ、重量7・6キロの農業用としてはコンパクトな国産ドローンをレンタルして使った。下部に取り付けたタンクにドローン散布で推奨されている水稲用除草剤(粒状)を入れ、広さ約1500平方メートルの適正散布を約7分間で終えた。JAならけんや県南部農林振興事務所の協力で、除草効果や薬剤による違いなどを比較検証する。隣の水田には別の除草剤を人力で散布した。
操縦は1人だがメンバー4人が位置を確認し合うなどしてスムーズに終了した。手元のコントローラーの画面でフライト軌跡を確認した車谷代表(61)は「アシストが良く順調に散布できた」と手応え。
フライは、スマート農業を普及させて農業の担い手の高齢化や人手不足を解消しようと、町の協働のまちづくり推進交付金を活用して活動。今後はメンバーのスキルアップを図り、ほかの農業者の相談にも応じるという。
この水田は営農グループ「吉野絆ファーム」(靏井昌幸代表)が30年来の耕作放棄地を再生して昨年から酒米「吟のさと」を栽培。同じ原材料を使って町内3カ所の酒蔵がつくる、清酒の個性を味わうふるさと納税返礼品「吉野正宗」になる。
薬剤タンクを背負い、田んぼの中に入って散布する作業は身体の負担も大きく時間もかかるという。フライのメンバーでもある靏井さん(61)は「ドローンを使えば省力化できる。また、若い人がドローンをきっかけに農業にも興味を持ってもらえれば」と期待した。
フライへの問い合わせは車谷さん、電話090(3030)4159。