奈良クラブ試合サマリー J3第16節

▽J3第16節(福島市とうほう・みんなのスタジアム)
奈良クラブ 5―0 福島ユナイテッドFC
(24) (15)
▽得点者 【奈】浅川隼人2、西田恵、中島賢星、平松遼太郎
▽順位 8位
▽観衆 954人
【戦評】
7試合ぶりの勝ち星。前半14分に浅川が右クロスをワンタッチで合わせた。同41分には相手のバックパスを奪った浅川が相手GKの位置を見極めてループシュートで2点目。後半14分に西田が右サイドからペナルティーエリアに入り3点目。さらに中島、平松が続いた。浅川は8ゴールで得点ランキング3位に浮上。中島は移籍後初ゴール。平松はJリーグ初得点をマークした。
【記者の目】
悪い流れを断ち切る快勝だった。浅川の2ゴールが起爆剤となり、西田、中島、平松のゴールが生まれた。流れからの得点で、前節の沼津戦で見せた後半のいい内容がすべて出た。
最終ラインを高く保ち、両サイドへボールをつなぎ、状況によっては縦パスでチャンスを演出するなど、多彩な攻めがあった。
この日は堀内が左センターバックに入り、安定ししたプレーを見せた。コンビを組んだ鈴木とラインを高く保って厚みのある攻撃につなげた。後半には守備堅めで出場した伊勢が落ち着いたプレーでチームの勝利に貢献した。
この試合のポイントはやはり先制点。鈴木の縦パスが相手ディフェンスに当たって右サイドの西田につながり、クロスボールを浅川がワンタッチで流し込んだ。選手たちの距離感がよく連動した動きがあり、サイド攻撃だけでなく、鋭い縦パスもあることを福島に印象づけたことで、5ゴールにつながった。
浅川の技術の高さは2点目にも表れており、ストライカーとしての資質の高さを証明した。
そう言えば、5得点は昨年9月(JFL)のFC大阪戦以来で、前節の大分戦に敗れ、J3昇格に危機感を持った選手たちが距離感を見直し、サイド攻撃を貫き、さらにタテへの突破で5得点を奪った。この日は、その再現映像を観ているかのようだった。
うれしいのは中島と平松のそれぞれの初ゴール。中島は身体能力がずば抜けており、その能力は誰もが認めるところ。一日も早いチームへの適応が期待されていた。そこに初ゴールが生まれ、中島のブレイクに期待が膨らむ。
平松は今季初出場で結果を残した。昨季センターバックから右サイドバックに活躍の場を求め、福島戦で出場機会を得た。ドリブルで駆け上がる加藤を追い越して、迷いなくゴール前へ顔を出してJ初ゴールにつなげた心意気は見事。
奈良は7試合ぶりの勝利で勝ち点24の8位。首位の富山が勝ち点30。奈良は6ポイント差で追う。残り22試合あり、これからが勝負だ。
そんな中、フリアン監督は「大切なのは内容。勝てない試合の中でもゴールシチュエーションを作れている。目指しているアイデア、スタイルを見失わないことが大事。それを続けることが結果につながる」と足元を見つめている。(河村)