洋食 春「店の味、全国へ広める」 - ピックアップ 奈良の注目企業(2)
日本政策金融公庫奈良支店 村井 廉潤
「必ず春は来る」
春(中林大樹社長)が運営する「洋食 春」は、奈良市のならまちにある人気洋食店。築160年の古民家を改装した店構えが周辺と調和している。過去にミシュランガイド奈良に選出されるなど、味は折り紙つきだ。
人気メニューは、奈良県産の大和牛とヤマトポークの合びきミンチを使用した本格ハンバーグと、頭から食べられる天然の有頭海老を使ったエビフライのセットで、子どもからお年寄りまで幅広い層から愛されている。
オーナーシェフでもある中林社長(44)は、左手に義手をつけて毎日厨房(ちゅうぼう)に立っている。過去に難病を患い、治療のため左腕を切断した。全国の医者が手術を拒否する中で、治療方法を提案し命を救ってくれたのは、奈良の医者だった。
その命の恩人に「頑張っている姿を近くで見せたい」との思いから、北九州市出身の中林社長は奈良への移住を決意し、12年前に現在の店舗をオープンした。
そんな中林社長の新たなチャレンジが、セントラルキッチン(調理を一手に引き受ける施設)の開設による主力商品のネット販売事業と「洋食 春」のフランチャイズ展開だ。店の味を全国に広めようと、決意した。
中林社長は「今後も事業を頑張ることで、障害を抱えながらでも夢を諦めなければ『いつか必ず春は来る』と、同じ境遇で悩んでいる人に伝えたい」と力を込める。
【メモ】
洋食 春
奈良市公納堂町14
電話:0742(24)5187