「稲盛哲学」を紹介 稲盛和夫元京セラ会長の特命秘書・大田氏が講演
奈良新聞政経懇話会など合同例会
奈良新聞政経懇話会・新生奈良研究会・阪奈政経文化懇話会・現代奈良研究会・なら21くらぶの5月合同例会が15日、奈良市法華寺町の奈良ロイヤルホテルで開かれ、稲盛和夫元京セラ会長の特命秘書で元日本航空社長補佐専務執行役員の大田嘉仁氏が「稲盛哲学とその普遍性〜栗山監督も学んだ15の言葉」と題して講演。京セラの創業や日航再建などを例に、稲盛氏の経営理論を分かりやすく紹介した。
冒頭あいさつで奈良新聞社の田中篤則社長は「稲盛氏はもちろん、太田氏も企業経営で優れた実績を挙げてこられた。有意義な話が聞けると思う」と講演に期待を寄せた。
大田氏は1978(昭和58)年に京セラ入社。第3次行革審の際、稲盛会長の特命秘書に就き、同社秘書室長、取締役執行役員常務などを歴任した。また、経営破綻した日航の再建では、会長を任された稲盛氏のもとで実務に当たり、短期間でのV字回復を実現させた。
講演で大田氏は、稲盛哲学について「挫折の中から人を愛する『フィロソフィー』が育まれ、研究者の視点が科学的な『アメーバ経営』を生んだ」と説明。
その上で、人間としての正しい考え方と熱意が能力と積算されることで得られる、仕事や人生の「成功方程式」を紹介。日本経済低迷の原因は「熱意不足」にあるとし、「経営者は会社を燃える集団にすること」が大切と話した。その実例として日航再建では全員参加の社風づくりを目指し、まずリーダーの意識改革を進めた結果「全社員に一体感が生まれ、奇跡的なスピード再建につながった」と報告した。
最後に自身の著書「稲盛和夫 明日からすぐ役立つ15の言葉」を紹介。2023ワールドベースボールクラシック(WBC)の日本代表監督、栗山英樹さんがチーム作りで同書に学び、大会に臨んだエピソードも披露された。
続いて会場を別室に移して、懇親会を実施。南都経済研究所の西川恵造理事長が乾杯あいさつを行い、出席者が親交を深めた。