奈良県自転車活用推進会議 利用増も事故件数など悪化
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有識者で構成する奈良県自転車活用推進会議(議長・山中英生徳島大学大学院社会産業理工学研究部長)の第3回会合が15日、奈良市東寺林町のならまちセンターで開かれ、自転車活用に関する県の施策について意見を交換、課題の指摘や改善策などを提言した。
県は、自転車による観光振興や地域のにぎわいづくり、安全な自転車利用の推進などを目的に、2020年に県自転車活用推進計画を策定。この日は事務局が同計画の進ちょく状況などを報告した。
報告では、21年度は前年度に比べてサイクリングルートの整備延長、定点における自転車交通量、県民のサイクリング実施率などの評価指標が伸びたものの、事故件数など安全・安心に関わる指標は悪化したと説明。自転車の人身事故件数は20年度467件に対し21年度は499件に増加。自転車事故の構成率も16・7%から17・0%に高まった。
一方、県民アンケートによると自転車保険などの加入率は66・1%から61・9%に後退した。
この報告を受けて委員からは「さまざまな交通安全対策が進められているが実績が上がらないなら、やり方を見直すことも必要」とする指摘があり、交通ルールを守ることで重大事故が減ることをデータでしっかり示すなど、効果的な啓発の工夫が求められた。
今後の施策については、事務局が安全対策など40項目の事業案を説明。自転車と公共交通を組み合わせた取り組みでは、本年度の春と秋に近鉄と県、沿線自治体が連携して実施した近鉄田原本線のサイクルトレインを来年度は4月中旬から通年運行する計画を報告。他線でも実施に向け近鉄と調整を進めているとした。