渡来系集団が関与、韓式系土器や最古の横笛 奈良大学博で「小路遺跡」展

奈良県天理市西部に位置する古墳時代の集落遺跡、小路(しょうじ)遺跡の発掘調査成果を紹介する企画展「小路遺跡と周辺の遺跡」が、奈良市山陵町の奈良大学博物館で開かれている。28日まで。
奈良大学が1986(昭和61)年に実施した発掘調査と、天理市などによる長年の調査の成果を、出土遺物を通して解説している。
朝鮮半島とのつながりが推定される韓式系土器は、集落開発に渡来系の集団が関与したことを示唆する資料。製塩土器はその特徴から大阪湾岸産、河内湖東岸産、紀伊産などの産地が確認でき、小路遺跡はそれぞれの地域と交流していたことが分かる。
井戸の枠に転用されていた扉板は復元すると全長推定約1.9メートルと巨大で、集落内に大型建物が存在していた可能性がある。
小路遺跡に隣接する星塚1・2号墳で出土した珍しい考古資料も紹介。確認事例では全国最古の横笛▷類例のない形状で朝鮮半島から伝わったとみられる筒形器台と大甕(がめ)▷近畿地方では真の継体天皇陵とされる今城塚古墳(大阪府高槻市)など3例しか確認されていない鷹匠(たかじょう)埴輪の鷹-が並ぶ。企画展では小路遺跡とともに古代豪族・穂積氏との関係を指摘している。
嘱託学芸員で同大大学院修士課程1年の橋本侑大さんは「朝鮮半島との交流や古墳時代の暮らしを感じてもらえれば」と話す。
開館時間は午前9時から午後4時半(土曜は正午)まで。日曜・祝日は休館。入館無料。
問い合わせは同館、電話0742(44)1251。