半数が10年以内の廃業を検討 奈良県内の畜産経営意向調査
奈良県内の畜産経営体の約半数が10年以内の廃業を検討していることが、日本政策金融公庫奈良支店農林水産事業などの調査で分かった。最大の経営課題としては、ウクライナ情勢に起因する飼料費などの経費増加が最多だった。
進む高齢化、60歳以上が67%
同事業は県畜産会と合同で、県内の畜産経営体(酪農、肉用牛、養豚、採卵鶏、肉用鶏、養蜂)113件に「畜産経営に関する経営意向調査」を実施(6~8月)。82件から回答(回収率72.6%)を得て取りまとめた。調査は2020年6月の前回調査から2回目。
経営者(全体)の年齢構成では、60歳以上が67%と3分の2を占めている。前回調査(56%)から11ポイント上昇した。担い手の世代交代が進まず、高齢化がさらに進行している現状が浮かび上がった。養豚で70歳以上の割合が高くなっている。採卵鶏は60歳未満の割合が高かった。
後継者については、酪農で半数(50%)が後継者を確保できていない。一方、肉用鶏(県産ブランド「大和肉鶏」の生産者)は後継者(予定を含む)を100%確保できている。
今後の事業継続の見通し(全体)では、半数近く(46%)が10年以内に事業をやめる方向で検討。養蜂では3分の2に当たる67%が10年以内の廃業を検討している。肉用牛は事業継続の意向が強い。
期待する経営支援(全体)としては、飼料対策が過半(57%)を占めた。
最大の経営課題については、ウクライナ情勢に起因する飼料価格の高騰を受け、回答者の41%が「飼料費等の経費増加」を挙げた。