池のほとりに咲いた黄色い花の向こうに山…
池のほとりに咲いた黄色い花の向こうに山小屋が見える。30年近く前に登った御嶽山で撮った写真には、豊かに水をたたえた美しい池が写っていた。
多くの犠牲者を出した御嶽山の噴火は9月で発生から10年となった。山頂北側の二ノ池は火山灰の流入で少しずつ面積を狭めていたが、ついに消滅したと地元紙が報じた。
記事によると、二ノ池は少なくとも千年ほど前からあったといい、2014年の噴火はその池をわずか10年で消滅させるほどの出来事だった。
水を失い、砂漠のようになった池の写真に衝撃を受けた。新たな穴ができない限り元の姿に戻るのは難しいという。
県内では、2011年の紀伊半島大水害が吉野地域の景色を一変させた。深層崩壊と呼ばれる大規模な斜面の崩壊が各所で起き、流れ出た土砂が川をせき止めた。復旧復興が進んだ今も、山肌には大きな傷跡が生々しく残る。
災害が少ないといわれる奈良県だが、自然は予測を超える力でわれわれに襲いかかる。地震への備えも必要だ。ハザードマップを確認し、過去の災害の節目節目に気持ちを引き締めたい。(増)