文化庁が公表した2023年度の国語世論…
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文化庁が公表した2023年度の国語世論調査で、1カ月に1冊も本を読まない人が62.6%と初めて半数を超えた。また、読書量についても、過去最多の69.1%の人が「減った」と答えた。
わが身を振り返っても、読書量は確実に減っている。原因は仕事の多忙とスマホだ。しかし、インターネットができるのに、本は読めないのはなぜか。
文芸評論家の三宅香帆さんの著書「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」(集英社新書)によると、本から得る知識には「ノイズ」が含まれるから。それに対しネットは求めている情報だけを、ノイズが除去された状態で得ることができる。
仕事に追われる現代人には読書や趣味もノイズだ。ただ、人生を豊かにするための材料はノイズの中にこそある。
同書は4月に発行以来、異例の売れ行きだという。同様の悩みを持つ人が多いことを表しているが、「労働」と「文化」が両立しない社会は異常といえる。
同書は「働きながら本が読める社会」の実現のために、「全身全霊」ではなく「半身」で働くことを勧める。何事も余裕を持つことが大切。(法)