狭い山道の下りで登ってくる登山者に道を…
狭い山道の下りで登ってくる登山者に道を譲る。「登り優先」は登山の基本マナーだが、譲られた方も結構気を使う。相手が多人数のパーティーならなおさらだ。
「ありがとうございます」と横を擦り抜けながら、知らぬ間にペースが上がっていたりする。遠くで待たれたときなど、早くしなければと気が焦る。安全を確保しながらタイミングよく道を譲るのは案外難しい。
もう一つ、山のマナーといえばあいさつだが、相手をよく見ることで遭難時の情報収集にも役立つとされる。信仰の山は「ようお参り」があいさつ代わり。
路線バスの世界では、運転手が自社のバスと擦れ違いざまに手を上げてあいさつすることを業界団体が禁止している。前方不注意の恐れがあるからだ。
ただ、9都府県で行われた覆面調査では、約半数が手を上げてあいさつしていたという。手を上げるのは一瞬だが、自社バスを視認してからの時間を考えるとやはり危険。
山では足元への注意がおろそかになると遭難につながる。バス運転手はハンドルに多くの命を預かる。前方不注意の種は少ない方がいい。(増)