美食家には待ち遠しかっただろう。ミシュランガイド奈良2023が発表され、ウェブ上で公開されている。

　昨年版の二つ星、一つ星の掲載各店はすべて星を維持。新たに一つ星2軒が追加され、総掲載軒数は88軒になった。

　新一つ星の1店は、ミシュラングリーンスターにも選ばれた。現代で求められる持続可能性の高いガストロノミー(食事と文化)への積極的取り組みを認証するもので、近年生まれた部門だ。

　昨年、グリーンスター各店で話をうかがった。提供する料理の食材の栽培を土づくりから始めていたり、大和の地でいにしえから作られてきた伝統野菜を次へとつなぐ活動をしていたり。

　食材づくりを通した地元の活性化を計画し、実践する料理人らもいた。彼らの姿からは奈良の風土が育む食材の価値、奈良で店を営む意味を伝承していこうとする気概と覚悟がうかがえた。

　味はもちろん料理人の哲学に触れられれば、料理の魅力はさらに増す。取材先の各店は、どこもそれが可能な雰囲気だった。県内では計6軒。総掲載数に対して比率が高いらしく、やっぱり誇らしい。(智)