月着陸を目指した日本の宇宙ベンチャー「…
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月着陸を目指した日本の宇宙ベンチャー「ispace(アイスペース)」の着陸船は、月面到達目前で問題が発生した。民間初の月着陸は失敗に終わった。
ただ、その後の会見で同社代表の発言は前向きだった。「着陸までのデータを獲得できたのは大きな達成で、次への大きな一歩だ」。
小山宙哉さんの漫画「宇宙兄弟」(講談社)の言葉を借りれば、「本気の失敗には価値がある」ということだろう。失敗という言葉は、県内でも4月に多数耳にした。
入社式や激励会では、企業や団体のトップ、先輩諸氏がほぼもれなく「失敗を恐れずに」と新入社員を鼓舞した。これも真剣、本気に取り組んだ場合との前提はありそうだが。
月着陸失敗の報道各社の取り上げ方はさまざまだったが、次回への期待を込めたものは少なかった。見通しが甘く、計画性もない試みは問題外だが、失敗を冷ややかに受け止めるだけでは萎縮や停滞が顔を出す。
前述の入社式などでは「周囲に相談を」との助言もよく聞いた。失敗を生かす本質は、回りの人々の度量と先を読める才覚にある気もする。(智)