「単なる建物の延命ではない」落慶法要を…
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「単なる建物の延命ではない」落慶法要を迎えた薬師寺東塔(国宝、奈良時代)の解体修理について、同寺の加藤朝胤管主はそう語る。
三重の大きな屋根に小さな屋根「裳階(もこし)」が付いたリズミカルな姿から「凍れる音楽」の愛称を持つ東塔。その美しさに目が奪われてしまうが、建物の持つ価値はそれだけではない。
同寺創建から唯一残る建物であり、加藤管主は「1300年の間、毎日欠かさずにどなたかが塔の前で祈りをささげてきた」という。その思いを未来へとつないでいく役割が約110年ぶりの解体修理にはある。
また、約10年の期間中には考古学や建築学などで多くの知見も得られた。古代寺院建築の最高傑作・東塔の技術を後世に伝えることにも大きな役割を果たした。
解体修理の最後には、新型コロナという大きな壁が立ちふさがった。当初は2020年に予定されていた落慶法要も延期を余儀なくされた。
21日の法要初日は青空が広がる好天に恵まれた。解体修理を指導し昨年他界された古代建築家の鈴木嘉吉さんも天国から笑顔で見守っていただろう。(法)