昨年亡くなった母の部屋を整理していると…
昨年亡くなった母の部屋を整理していると、聴覚障害の障害者手帳が見つかった。伯母によると、母は中耳炎の後遺症で若いころから片方の耳がやや聞こえにくかったらしい。
母は晩年、補聴器を使うようになったが、加齢が原因だと思っていた。今思えば、幼いころに母と一緒に見たテレビの音量は大きかった。近くに居ても、障害のある人の不自由さは気付きにくいものだと痛感した。
4月、大和郡山市の踏切で目の不自由な女性が電車と接触し亡くなった。女性は踏切の外にいると誤認した可能性がある。
もし、踏切内に点字ブロックがあれば自分の位置がわかり、事故を防げたかもしれないという。しかし、近畿で内部に点字ブロックがある踏切は4カ所しかなかった。
痛ましい事故が行政を突き動かし、8日、現場の踏切内に「エスコートゾーン」と呼ばれる点字ブロックが設置された。他の踏切でも対策が急がれるが、踏切内の点字ブロックの設置基準がなく実現に向けたハードルは高い。
それぞれの不自由さを社会全体で助け合うことが大切。今回の事故を教訓としたい。(法)