国原譜

昭和11年に開催されたベルリンオリンピ…

 昭和11年に開催されたベルリンオリンピックの棒高跳び決勝は、5時間にわたる激闘となった。優勝はアメリカのアール・メドウス、日本の西田修平と大江季雄が続き、試合終了は午後9時を過ぎていた。

 ベルリン五輪の記録映画「オリンピア」を撮ったドイツの女性監督、レニ・リーフェンシュタールはこの激闘をハイライトに使ったが、それは後日撮り直したものだった。

 作家沢木耕太郎さんのインタビューでリーフェンシュタールは、当時のフィルムではライトなしの夜間撮影が不可能だったとし、「素晴らしい棒高跳びの闘いを撮り損なうことになった」と話している。

 競技場を熱狂させた試合を省いて映画を完成させるのか、リーフェンシュタールの決断は撮り直しだった。選手は再び集められた。

 2020年東京五輪の公式映画の監督が、河瀬直美さんに決まった。記者会見で河瀬さんは、世界中の心を動かす作品にしたいと意気込みを語った。

 奈良で感性を育んだ河瀬さんが東京五輪の大舞台をどのように切り取るのか、平成33年ごろとされるその完成が今から楽しみだ。(増)

 

特集記事

人気記事

  • ならリビング.com
  • GOOD INNOVATION LAB コピーライター講座
  • 出版情報 出版物のご購入はこちらから
  • 47CLUB
  • 特選ホームページガイド