国原譜

今年は明治維新150年。しかし、福島県…

 今年は明治維新150年。しかし、福島県会津若松市では「戊辰150年」とするらしい。戊辰戦争で「賊軍」の汚名を着せられた遺恨は今も消えない。

 近代への扉を開いた明治維新だが陰の部分も多い。神道国教化に伴う神仏分離令もその一つ。過激な廃仏毀釈(きしゃく)を招き、大和の社寺も打撃を受けた。

 平安時代から続く神仏習合の伝統も失われた。伝統的な神道と外来性の仏教を和合させ、神と仏を一体とする考え方だ。

 「古典的神仏習合論者」を自称する興福寺の多川俊映貫首は「日本文化の根幹」と評価。「古代には50年間かけて慎重に仏教を受容したのに、国民的議論もなく神仏分離を決めた」と明治の蛮行を嘆く。

 それでも南都の寺院は今も神仏習合の名残りを色濃く残す。興福寺も年始に春日大社へ社参するほか、さまざま法要で神を勧請し無事を祈る。

 世界中で異者を否定する動きが広がるなか、多様性と寛容性を持つ神仏習合の考え方が必要ではないか。きょう7日、興福寺中金堂が落慶を迎える。南都の寺院が伝えてきた神仏習合の新たなシンボルになれば。(法)

 

 

 

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