昨年の秋は記録的な長雨だったが、週末ごとに追い打ちをかける台風で裏山の溝があふれ出し、自宅の敷地に流れ込みそうになった。

　日は暮れていたが、土のう袋をもらえないか市役所に電話すると、20分もしない内に職員がトラックで駆け付けてくれた。荷台には土のうが山積みされ、一緒に山際に並べて事なきを得た。

　即応性のある行政に気象の専門家が加われば安心はより高まる。気象庁は先月、「防災対応支援チーム」(JETT)を発足させた。

　チームを構成するのは、大雨や地震など、各分野で高い専門性を持つ職員約1400人。台風の接近で大雨が予想される場合など、事前に現地入りして行政の対応を手助けする。

　雨量の見通しや避難指示・勧告の必要性について、専門家から直接アドバイスを受けられる意義は大きい。

　きょうから6月。近畿地方も梅雨入りは間もなくだ。ゲリラ豪雨も恐ろしいが、長く続く雨も保水力とのバランスで思わぬ災害を引き起こす。精度を増す気象予測に耳を傾けながら、身近な危険箇所を再点検して雨の季節を迎えたい。(増)